○保護帽の規格(平成12年労働省告示第120号)
労働安全衛生法(昭和47年度法律第57号)第42条の規定に基づき、保護帽の規格を次のように定め、昭和51年1月1日から適用する。
第1条(定義)
この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 帽体 着用者の頭部を覆う部分をいう。
二 着装体 ハンモック、ヘッドバンド、環ひも等により構成され、帽体に衝撃が加わった際に着用者の頭部に加わる衝撃を緩和するために帽体の内部に取り付けられる部分をいう。
三 衝撃吸収ライナー 帽体に衝撃が加わった際に着用者の頭部に加わる衝撃を緩和するために帽体の内面に取り付けられる部分をいう。
四 あごひも 帽体が着用者の頭部から脱落することを防止するための部品をいう。
第2条(材料)
保護帽の各部に使用する材料は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるものでなければならない
区分 |
材料 |
帽体 |
合成樹脂又は金属 |
着装体のハンモック及びヘッドバンド並びにあごひも |
合成樹脂、合成繊維又は綿 |
衝撃吸収ライナー |
発泡スチロール又はこれと同等以上の衝撃吸収性能を有するもの |
第3条
保護帽の各部に使用する材料は、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない。
一 容易に腐食しないこと。
二 皮膚に障害を与えないこと。
三 使用の目的に適応した耐熱性、耐寒性及び耐水性を有すること。
第4条(構造)
物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は、帽体、着装体及びあごひもを有し、かつ、次の各号に定めるところに適合するものでなければならない
一 着装体のヘッドバンドは、着用者の頭部に適合するように調節することができること。
二 着装体の環ひもは、環の大きさを調節できないこと。
三 帽体と着装体のヘッドバンドとの間げきは、5ミリメートル以上であること。
第5条
墜落による危険を防止するための保護帽は、帽体、衝撃吸収ライナー及びあごひもを有し、かつ、リベットその他の突出物が帽体の外面から6ミリメートル以上突出していないものでなければならない。
一 合成樹脂を材料とする帽体にあっては、穴(あごひもを取り付けるためのもの及び着装体を有する保護帽の帽体にあっては当該着装体を取り付けるためのものを除く。)がないこと。
二 リベットその他の突起物は、帽体の外面から6ミリメートル以上突出していないこと。
第6条(耐貫通性能)
物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は、次の表の上欄に定める試験方法による試験を行った場合に、同表の下欄に定める性能を有するものでなければならない。
試 験 方 法 |
性 能 |
一 保護帽を、当該保護帽のヘッドバンドが人頭模型に密着しない状態で装着し、重さ3キログラムの円すい形ストライカを1メートルの高さから当該保護帽の頂部を中心とする直径100ミリメートルの円周内に自由落下させる。 二 頂部すき間(着用者の頭頂部と帽体内頂部との間げきをいう。以下この号及び第8条第一項において同じ。)を調節することができる保護帽について前号の試験を行う場合には、頂部すき間を最短にして行うものとする。 |
当該円すい形ストライカの先端が人頭模型に接触しないものであること。 |
2~3 略
第7条
墜落による危険を防止するための保護帽の帽体は、次の表の上欄に定める試験方法による試験を行った場合に、同表の下欄に定める性能を有するものでなければならない。
試験方法 |
性能 |
帽体を試験用ジグの頂部リングに、それぞれ、落下点が帽体の前頂部、後頭部及び両側頭部になるようにかぶせ、重さ1.8キログラムの円すい形ストライカを0.6メートルの高さから自由落下させる。 |
当該試験用ジグの頂部リングの上端から帽体内面のくぼみの最下降点(円すい形ストライカの先端が帽体を貫通した場合にあっては、当該円すい形ストライカの先端)までの垂直距離が15ミリメートル以下であること。 |
2~3 略
第8条(衝撃吸収性能等)
保護帽は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、同表の中欄に定める試験方法による試験を行った場合に、それぞれ同表の下欄に定める性能を有するものでなければならない。
区 分 |
試験方法 |
性 能 |
物体の飛来 又は落下に よる危険を 防止するための保護帽 |
一 保護帽について、高温処理、低温処理又は浸せき 処理(以下この表において「高温処理等」という。) をした後、それぞれ、当該保護帽のヘッドバンドが 人頭模型に密着しない状態で装着し、重さ5キログ ラムの平面形ストライカ(日本工業規格G3101 (一般構造用圧延鋼材)に定めるSS400の規格 に適合する鋼材を材料とし、かつ、半径48ミリメ ートルの半球衝撃面を有するものに限る。)を1メー トルの高さから当該保護帽の頂部に自由落下させる。 二 前号の試験は、高温処理をした後一分間以内に終 了するものとする。 三 頂部すき間を調節することができる保護帽について第一号の試験を行う場合には、頂部すき間を最短にしして行うものとする。 |
一 人頭模型にかかる 衝撃荷重(以下この 表において「衝撃荷 重」という。)が4.9 0キロニュートン以 下であること。 |
墜落による 危険を防止 するための 保護帽 |
一 保護帽について、高温処理等をした後、それぞれ、 中心線が水平に対し30度傾斜している人頭模型 に衝撃点が保護帽の前頭部及び後頭部となるよう に装着し、重さ5キログラムの平面形ストライカ(日本工業規格G3101(一般構造用圧延鋼材)に定めるSS400の規格に適合する鋼材を材料とし、か つ、直径127ミリメートルの衝撃面を有するもの に限る。)を1メートルの高さから自由落下させる。 二 前号の試験は、高温処理等をした後、三分以内に 終了とするものとする。 三 着装体を有する保護帽について第一号の試験を 行う場合には、当該着装体のヘッドバンドが人頭模 型に密着しない状態で装着して行うものとする。 |
一 衝撃荷重が9.81 キロニュートン以下で あること。 二 7.350キロニュ ートン以上の衝撃荷重 が1,000分の3秒 以上継続しないこと。 三 4.90キロニュー トン以上の衝撃荷重が 1,000分の4.5 秒以上継続しないこ と。 |
2 前項の規定による試験において高温処理、低温処理及び浸せき処理は、次の表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める方法により行いものとする。
区分 |
方法 |
高温処理 |
その温度が48度以上52以下である場所に継続して二時間置く方法 |
低温処理 |
その温度が零下12度以上零下8度以下である場所に継続して二時間置く方法 |
浸せき処理 |
その温度が20度以上30度以下である水の中に継続して四時間置く方法 |
3 第6条第二項の規定は、第一項の規定による試験に用いる人頭模型について準用する。
一 いちょう、かえで、なら、ぶな又はほうを材料としていること。
二 2.8キログラム以上3.2キログラム以下の重さであること。
三 次の表に定める寸法であること。
水平断面番号 角度(度) |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
0 |
28.3 |
46.0 |
58.9 |
68.4 |
81.4 |
89.9 |
94.3 |
15 |
28.9 |
47.0 |
59.1 |
67.6 |
82.1 |
89.3 |
94.7 |
30 |
29.2 |
47.2 |
59.3 |
66.6 |
79.5 |
87.0 |
92.0 |
45 |
29.4 |
46.5 |
58.0 |
63.0 |
75.98 |
82.0 |
85.9 |
60 |
30.1 |
45.7 |
57.0 |
61.3 |
73.0 |
77.9 |
82.4 |
75 |
31.2 |
45.7 |
56.8 |
61.5 |
71.9 |
75.9 |
80.4 |
90 |
33.1 |
46.9 |
57.3 |
63.1 |
73.7 |
77.5 |
81.2 |
105 |
35.8 |
50.3 |
61.0 |
67.0 |
77.0 |
81.28 |
84.0 |
120 |
39.5 |
55.2 |
66.3 |
72.4 |
80.9 |
84.9 |
88.3 |
135 |
43.0 |
58.5 |
68.9 |
75.4 |
84.3 |
87.8 |
91.1 |
150 |
45.0 |
58.9 |
69.1 |
76.1 |
84.2 |
89.4 |
93.5 |
165 |
45.0 |
58.0 |
67.8 |
74.8 |
83.0 |
89.0 |
93.4 |
180 |
44.5 |
57.9 |
67.1 |
73.6 |
82.8 |
89.1 |
94.3 |
第9条(表示)
保護帽は、見やすい箇所に次の事項が表示されているものでなければならない。
一 製造者名
二 製造年月日
三 物体の飛来若しくは落下による危険を防止するためのものである旨又は墜落による危険を防止するためのものである旨
第10条(特殊な構造の保護帽)
特殊な構造の保護帽で厚生労働省労働基準局長が第2条から第8条までの規定に適合するものと同等以上の性能を有すると認めたものについては、この告示の関係規定は、適用しない。